· 

ドビュッシー没後100年

今年はドビュッシー没後100年。

ドビュッシーというと代表作でもある「月の光」をまず思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

 

私はドビュッシーやラヴェルのフランス音楽が大好きです。

日本人女性は小柄なせいもあって、フランス音楽を演奏しやすいと聞いた事があります。

フランス音楽は、ベートーヴェン、ブラームスとは全く違うタッチ、音質を要求されます。

 

フランス留学をしていた知人によると、フランス人の好きな作曲家は決まってドビュッシーだそうです!(ラヴェル、かわいそう・・・)

 

 

ドビュッシーというと、

・印象派 (本当は、象徴主義)

 

・モネやルノワールの絵画に代表されるような淡い色彩、

 優しい雰囲気の音楽

 

そのように感じる方も多いと思います。

 

ところが・・・

 

ドビュッシーは頭の中で、グロテスクな事、人間の奥深くにある暗いもの、

超能力的な事を考えていた人物だったそうです。

エドガー・アラン・ポーが大好きで、一説によると錬金術にもはまっていたとか。

 

ドビュッシーの曲には光と闇が混在しています。

 

例えば、「月の光」

この曲はただ単に月の美しい風景を描いた曲ではありません。

 

ドビュッシーはヴェルレーヌという詩人を敬愛し、彼の詩を引用することがよくありました。

ドビュッシー「月の光」も、ヴェルレーヌの同名の詩からインスピレーションを得たといわれています。

 

ヴェルレーヌは「月の光」の詩で、仮面の下に悲しみを隠して道化を演じる悲しいピエロを描いています。

 

顏で笑って心で泣いている悲しいピエロ。

 

ドビュッシーの「月の光」も美しい反面、どこか切ないような、闇の部分がひそんでいるように思えてなりません。

以下、ヴェルレーヌの詩「月の光」です。

 

 

 

CLAIR DE LUNE 「月の光」
Votre âme est un paysage choisi
Que vont charmant masques et bergamasques,
Jouant du luth et dansant, et quasi
Tristes sous leurs déguisements fantasques.

あなた(ヴァトー)の魂は、選り抜かれた風景画、
その美しい風景を、様々な仮面、仮装の人々がさらに優美に
リュートを弾いて踊りながら行き過ぎる。
その奇抜な装いの奥では悲しげに。

Tout en chantant sur le mode mineur
L'amour vainqueur et la vie opportune,
Ils n'ont pas l'air de croire à leur bonheur
Et leur chanson se mêle au clair de lune,

短調の調べにのせて歌うのは
恋の勝利と運のついてきた人生、
だが自分たちは幸福だと信じている様子はない
そして彼らの歌声は月の光に溶けてゆく。

Au calme clair de lune triste et beau,
Qui fait rêver, les oiseaux dans les arbres
Et sangloter d'extase les jets d'eau,
Les grands jets d'eau sveltes parmi les marbres.

悲しく美しく、静かな月の光は
樹々のなかの小鳥たちを夢にいざない、
恍惚のあまり咽び泣かせる、
大理石の彫像が立ち並ぶ中で、しなやかに吹き上げる噴水を。

 

 

 

「月の光」がこのような詩からインスピレーションを得たなんて、

なんだか意外な感じがしませんか?

 

ドビュッシーは気難しい性格でした。

そして女性関係でも非常に問題の多い人物で、不倫、自殺未遂、などなど(^_^;)

音楽だけ聴いていると、そんな風には思えないのがまた意外で・・・

 

頭の中で暗い闇の世界を描いていても、いざ音楽にすると美しくなってしまう。

彼はそんな矛盾を持ち合わせていたのかなぁと感じています。

 

ドビュッシーが頭の中で考えていた事は、むしろラヴェルが音楽で表現しているのかな!?

なんて思ったり。

 

何気なく聴いていた「月の光」も、実は奥が深かったりして面白いのです。